タダです。
先日の技術書展6で購入した「機械学習の炊いたん。」を読了しました.本書では AI の技術ネタだけでなく,AI エンジニアの採用事情や趣味で深層学習(ディープラーニング)の環境を整えるステップアップの仕方まで AI 分野を様々な角度で解説しています.読了後の所感を含めて本書を紹介します.
本書の構成
本書は6章で構成されています.
- 1章 機械学習エンジニアは一日にして成らず by @emergentさん
- 2章 AWS SageMakerではじめるモデルの学習とデプロイ by @kirikei4さん
- 3章 機械学習を新たに学んで転職活動に生かす話 by @emergentさん
- 4章 趣味の深層学習と環境のステップアップ by @tomo-makesさん
- 5章 強化学習と逆強化学習 by @sonodanoさん
- 6章 スパース推定の数理 ~ オッカムはウィリアムだろ常考 ~ by @small_mt さん
本書で学べること
本書を通じて勉強できると感じたのは以下の通りです.
- AWS SageMaker でのモデルの作り方とデプロイ
- AI 開発の転職活動や採用活動事情
- 深層学習の勉強を趣味で進めるためのステップアップ方法(Google Colaboratory から始めて自作マシンを組むところまで)
- 逆強化学習やスパース推定の基礎的な解説(コードはなく数学や理論の解説が中心)
モデルの作成とデプロイの体験
@kirikei4さんによるAWS SageMaker での MXNetフレームワークを利用してモデルの開発とデプロイを行う方法を2章で画像とコードを使って解説されています.AWS で AI 開発を行う時の要になるサービス AWS SageMaker の使い方を一通り勉強できるコンテンツなので興味があっても触れていない人にオススメです.
また @kirikei4さんも触れていますが,AWS の良さは他のサービスとの連携を行うことでシナジー効果を得られます.単一で使うより本コンテンツを通じて開発,運用まで考えた使い方を行なっていけるようになるとより良い使い方ができるはずです.
今回は取り上げませんでしたが,LambdaなどのFaaS を使ったお手軽アプリの作成や Amazon Green Galss や IoT Core などど連携したエッジへのデプロイなど,組み合わせ方がたくさんあります.
関連情報
AI 分野の転職や採用事情
@emergentさんが採用担当になって AI 業界における AI 開発者に応募する時の考慮点や採用者目線での意見を3章で解説してくれています.特に応募者の考慮点は僕も気になっていた部分です.応募者の経歴と採用側の期待とのギャップが描写されていますし,企業側も期待を伝えるべきことが記載されています.
現状とてもアツい転職市場の分野かと思います.応募者,採用する企業が双方幸せになるための参考になる情報と思うので転職を考えていたり,人事担当の方も気になれば見てみて欲しい内容です.
深層学習の趣味での勉強ステップアップ方法
@tomo-makesさんによる深層学習の勉強ステップアップ方法の解説が4章です.どんな分野でもまずは手軽に始められるところから少しずつステップアップしていくのが勉強を継続するために必要です.手始めの勉強環境として「Google Colaboratory」からスタートし, GCP のサービスの利用,最終的に自作マシンを組むところまで進んだ実体験まで触れられています.
勉強状況に応じて開発環境も適宜変更していくハウツーの情報は参考になります.これから勉強していく方にとって有益な情報がまとめられています.
関連情報
関連記事
「Google Colaboratory」については以下の記事で触れています.
逆強化学習やスパース推定の基礎的な数理観点の解説
@sonodanoさんと @small_mt さんによる 逆強化学習とスパース推定の解説ページが5,6章です.これまでの章とは異なり数理的な解説が中心です.僕は数式が理解できずなため関連資料のものを使って何度も繰り返し読もうと思います.僕のように数式が苦手な方は周辺情報と合わせて勉強しつつ読み進めるのがオススメです.
関連資料
www.slideshare.net
まとめ
- 豊富な AI トピックを扱った「機械学習の炊いたん。」を紹介しました.
- 総ページがP122でしたが,僕は 3時間 ほどで読了できる内容でした.
- AI 分野が初めてでも1章から4章までは AI 分野でどういった技術か,どんな開発をするのかなど勉強になることが多いです.
- 後半は数理分野の勉強が中心となるため数式苦手な方は関連情報とゆったり勉強していくと良いと思いました.